それでもキズキが一度席を外して二人きりになってしまうと、




僕と直子はうまく話をすることができなかった。二人ともいったい何について話せばいいのかわからなかったのだ。





実際、僕と直子のあいだには共通する話題なんて何ひとつとしてなかった。




だから仕方なく我々は殆んど何もしゃべらずに水を飲んだりテーブルの上のものをいじりまわしたりしていた。そしてキズキが戻ってくるのを待った。




キズキが戻ってくると、また話が始まった。




直子もあまりしゃべる方ではなかったし、僕もどちらかといえば自分が話すよりは相手の話を聞くのが好きというタイプだったから、




彼女と二人きりになると僕としてはいささか居心地が悪かった。




相性がわるいとかそういうのではなく、ただ単に話すことがないのだ。




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