ろさ



どうして夜のあいだ国旗が降ろされてしまうのか、僕にはその理由がわからなかった。

夜のあいだだってちゃんと国家は存続しているし、働いている人だって沢山いる。

線路工夫やタクシーの運転手やバーのホステスや夜勤の消防士やビルの夜警や、

そんな夜に働く人々が国家の庇護を受けることができないというのは、どうも不公平であるような気がした。

でもそんなのは本当はそれほどたいしたことではないのかもしれない。

誰もたぶんそんなことは気にもとめないのだろう。気にするのは僕くらいのものなのだろう。

それに僕にしたところで何かの折りにふとそう思っただけで、それを深く追求してみようなんていう気はさらさらなかったのだ。


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